休日のジョギングの帰路、

自宅近くの小さな交差点で

1台の車が信号待ちをしていました。

 

しかし、その信号はそのままの状態なら

決して青に変わることはありません。

なぜなら「感知式」信号なのに

車が「感知ポイント」の少し後ろに

停車しているから。

信号機に車の存在が感知されていない上、

運転手がその状態に

気付いていないからです。

 

つまり、押しボタンを押す歩行者か

反対側の信号に感知される対向車が

たまたま登場するまで、

その車は前進が許されないのです。

 

 

 

 

そんな不幸な事態に陥っていることに

まったく気付いていない県外ナンバーの

男性運転手が不憫になり

私はもう少し前で停車するように

教えてあげようと思いました。

 

しかし、締め切った窓ガラスの

向こうでボーッとしている運転手に

どうやって伝えれば良いのでしょう?

仕事で鍛えた腹式呼吸の発声や

滑舌の良さなどはまったく非力で

雨に濡れた火縄銃みたいなものです。

 

黒のニット帽に黒縁メガネ、

黒ジャンパーに黒トレパン、

首タオル&無精ひげ私の姿は

それだけで十分に不審ですが、

そんな黒づくめが近付いてきて

「もう少し前に進んで」と

交通整理のようなジェスチャーを

派手に披露すれば決定的に不審です。

でも教えてあげたい・・・。

 

まずは運転手に私の存在に

気付いてもらおうと

歩道から運転席を覗き込むように

じんわりと首を動かしたり

遠慮気味に左手だけを

上げたりしてみました。

ただ、このヨガのような緩慢な動きは

健康には良いかもしれませんが、

オーバージェスチャー以上に不審です。

 

親切心からこんなに恥ずかしい

動きをしてあげているのに

運転手は私のそのジェスチャーを

一向に感知してくれません。

 

あきらめて、ふと振り返ったら

私は感知できていなかったのですが

顔なじみのご近所さんが

黒づくめで緩慢に動くアナウンサーを

感知していました。

不審そうに見ていました。